
「撮影をせずに動画を作りたい」という相談が増えています。出演者の手配がつかない、ロケができる時期を過ぎてしまった、季節物なので今すぐ必要——理由は案件ごとに違いますが、共通しているのは撮影という工程そのものが日程のボトルネックになっているという点です。
AIを使えば、撮影なしで動画は作れます。ただし発注する側にとって本当に知りたいのは「作れるかどうか」ではなく、何が省けて、何が省けないのかのはずです。ここは工程を見ないと分かりません。
26℃(株式会社ニジュウロクド)は、フルAIで制作したCMを地上波で放映した実績があります。この記事では、撮影不要にすると具体的にどの作業が消えるのか、逆に撮影不要では難しくなることは何かを、実際の工程に沿って整理します。
結論から先に
- 撮影不要で消えるのは撮影当日だけではない。キャスティング・ロケハン・日程調整・天候待ち・再撮影という前後の工程がまとめて消える
- 日程が読めるようになるのが最大の変化。最短2週間での納品が可能になるのは、撮影と日程調整が発生しないため
- 撮影不要で難しくなることもある。実在する商品の質感、既存タレントの起用、現場の偶然性——ここは正直に切り分けたほうがいい
- 「撮影がない=品質を落とす」ではない。出し先の基準(地上波なら媒体考査)を前提に工程を組めるかで決まる
撮影不要のAI動画制作とは
撮影不要のAI動画制作とは、カメラでの実写撮影を行わず、生成AIで映像素材を作って動画に仕上げる制作方法です。 演者・ロケーション・小道具にあたるものを、撮影ではなく生成で用意します。
ここで押さえておきたいのは、撮影が消えても「作る工程」自体が消えるわけではないという点です。企画・構成・演出の設計は変わらず必要ですし、生成した素材を選び、直し、つなぐ作業はむしろ増えます。なくなるのは「撮影という物理的なイベント」と、それに紐づく段取りです。
だからこそ、効果が出るのは「撮影の段取りがボトルネックになっている案件」です。逆に言えば、そこが詰まっていない案件では、撮影不要にしてもあまり変わりません。
撮影がなくなると、どの工程が消えるのか
「撮影1日ぶん」が消えるだけだと思われがちですが、実際に消えるのは前後に伸びている工程です。

1. キャスティング
出演者を探し、条件を交渉し、スケジュールを押さえる工程です。撮影日そのものより、ここの調整に時間がかかることが珍しくありません。
2. ロケハン・ロケ地の手配
場所を探し、下見をし、使用許可を取る。屋外なら近隣への配慮も要ります。
3. スケジュール調整
出演者・スタッフ・機材・場所の予定が全部そろう日を見つける作業です。関係者が増えるほど、候補日は指数的に減ります。
4. 天候・季節待ち
屋外撮影では天候が読めません。「桜が咲いている絵が要る」といった季節条件がつくと、待つ以外の選択肢がなくなります。
5. 再撮影のリスク
撮り直しが必要になったとき、撮影ありの案件では①〜④をもう一度回すことになります。撮影がなければ、直したい箇所だけを作り直せます。
この5つが消えることが、納期短縮の中身です。26℃で最短2週間での納品が可能なのは、この撮影・日程調整が発生しないためです。
逆に、撮影不要では難しくなること
ここは、宣伝としては書きにくいところですが、発注前に知っておいたほうが判断を間違えません。

実在する商品そのものを正確に見せる。 パッケージの質感、ラベルの文字、金属やガラスの反射。実物が存在する商品を「実物どおりに」見せる必要がある場合、実写のほうが確実なことがあります。生成で寄せることはできますが、工程と確認の手間は増えます。
既存のタレント・著名人を起用する。 契約している人物を出演させたい案件は、そもそも撮影が前提になります。AIアバターへの置き換えは、その案件の狙いそのものを変えてしまいます。
現場の偶然性を拾う。 ドキュメンタリー的な表情、実際のユーザーの反応、その場で生まれた動き。「作り込まないこと」に価値がある映像では、生成は向きません。
既存の実写素材と混ぜる。 過去の実写映像と並べて違和感が出ないかは、案件ごとに検証が必要です。混在させる前提なら、早い段階で相談したほうがいい部分です。
これらに当てはまる場合でも、一部だけをAIで作るという組み方はできます。全部か無かで考える必要はありません。
撮影をしないぶん、品質はどこで担保するか
「撮影がない=手を抜いている」と見られないために、工程のどこで誰が確認しているかを説明できる状態にしておくことが重要です。
出し先の基準から逆算する。 テレビCMなら放映前に媒体側の考査があります。26℃はフルAIで制作したCMを地上波で放映した実績があり、その基準を前提に工程を設計しています。要求水準が高いほうに合わせて作れば、後から出し先を広げても作り直しが起きません。
AI出力をそのまま納品しない。 生成された素材は必ず選別・修正の工程を通し、日本国内のスタッフが最終品質チェックを行います。
工程をまるごと可視化する。 キャラ設計 → 世界観 → 合成 → 最終カットまで、制作画面のまま全工程を開示します。撮影という「目に見える現場」がないぶん、工程が見えることの価値はむしろ上がります。
日本側でワンストップ。 海外チームとの直接やり取りは発生しないため、修正の指示が翻訳や時差を挟まずに通ります。撮影がない案件は修正のやり取りが中心になるので、ここが詰まると結局スピードが出ません。
品質についてより詳しくは、AI CMが「気持ち悪い」と言われない作り方にまとめています。
向いている案件・慎重に考えたい案件
| 向いている | 慎重に考えたい | |
|---|---|---|
| 出演者 | 特定の人物である必要がない | 契約タレント・著名人を起用したい |
| 被写体 | 概念・世界観・シチュエーション | 実物の質感を正確に見せたい商品 |
| 日程 | 撮影の段取りが日程を圧迫している | 日程に余裕があり、撮影済み素材もある |
| 展開 | 複数パターン・複数尺を出し分けたい | 1本を作り込みたい |
| 季節・場所 | 季節物、ロケが難しい場所 | 現場の偶然性そのものが価値 |
「慎重に考えたい」に当てはまっても、部分的にAIを使う組み方は検討できます。実際の判断は案件の狙い次第なので、素材の有無と出し先を添えてご相談いただくのが早いです。
発注から納品までの流れ
- 狙いと出し先の確認 — どこで流すか(地上波/配信/SNS)で必要な水準が決まります
- 企画・構成 — ここは撮影ありの案件と変わりません
- キャラ設計・世界観の設計 — 撮影でいうキャスティングとロケハンにあたる工程
- 生成と選別 — 出力をそのまま使わず、選び、直す
- 合成・編集 — 尺やパターンの出し分けもこの段階
- 最終QA — 日本国内のスタッフが確認。出し先の基準に照らす
- 納品 — 権利は完全買い切りで、著作権・肖像権とも譲渡します
撮影と日程調整が発生しないため、最短2週間での納品が可能です。実際の期間は素材の量と確認の回数で変わります。
実際の制作物は制作実績でご覧いただけます。サービスの詳細はDIRECT FILMにまとめています。
よくある質問
Q. 撮影なしで動画は本当に作れますか?
A. 作れます。演者・背景・小道具にあたる素材を撮影ではなく生成で用意し、選別・修正・合成を経て仕上げます。地上波TVCMとして放映した実績もあります。ただし実在する商品の質感を正確に見せたい場合など、実写のほうが確実な領域もあります。
Q. 撮影不要にすると、どれくらい早くなりますか?
A. 短縮されるのは撮影当日だけではなく、キャスティング・ロケハン・スケジュール調整・天候待ち・再撮影といった前後の工程です。26℃では最短2週間での納品が可能です。実際の期間は素材の量と確認回数によって変わります。
Q. 出演者はどうなりますか?
A. AIアバターを使用し、実在の人物・ブランド・キャラクターを模倣しない運用としています。実在のタレントを起用したい案件は、そもそも撮影が前提になるため、別の進め方をご検討ください。
Q. 既存の実写素材と混ぜられますか?
A. 案件によります。並べたときに違和感が出ないかの検証が必要なので、混在させる前提であれば早い段階でご相談ください。
Q. 修正はどこまでできますか?
A. 撮影がないぶん、直したい箇所だけを作り直せます。撮影ありの案件のように「撮り直しのために全工程をやり直す」必要がないのが、撮影不要の実務上の利点です。具体的な修正回数や範囲は、案件ごとに事前に取り決めます。
まとめ
動画制作を撮影不要にすると、消えるのは撮影当日だけではありません。キャスティング・ロケハン・スケジュール調整・天候待ち・再撮影という前後の工程がまとめて消えます。日程が読めるようになることが最大の変化で、最短2週間での納品が可能になるのはこのためです。
同時に、実物の質感・既存タレントの起用・現場の偶然性といった、撮影のほうが確実な領域もあります。全部をAIに置き換える必要はなく、案件の狙いに応じて組み合わせるのが現実的です。
26℃は、フルAIで制作したCMを地上波で放映した実績をもとに、AI映像制作サービス「DIRECT FILM」を提供しています。工程の全開示、日本国内での最終品質チェック、権利の完全買い切りまで含めて設計しています。
AI映像制作の進め方、品質管理の考え方、権利の扱いをまとめた資料をご用意しています。社内での検討・稟議にそのままお使いいただけます。
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執筆:26℃ 編集部
AI映像制作サービス「DIRECT FILM」を運営する株式会社ニジュウロクド(26℃)の編集チームです。制作現場で実際に用いている基準をもとに、AIクリエイティブの実務情報を発信しています。

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